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以前、商品に「愛」がつくのは車(愛車)しかないと聞いた時、私は大変衝撃を受けました。人生の中で最も高価で、長く付き合っていく「家」に、多くの人が「愛」が持てないのだなと。
そして愛される、「喜ばれる家」を、私たちは提供できていないのだろうという事を強く実感しました。
私はこの住宅業界に約30年携わり、600件近い新築住宅のお客様と関わり、また数百件の中古住宅を見てきました。
その中で強く感じた事は、この業界全体、そして住宅会社が、「いい家をつくる」という最も大切な意識が欠如し、作り手側の都合や、自社の利益を重視した家づくりを行なっているという事です。合理的で徹底したコストダウンをする為に、やるべき工程を省き、見えない部分の材質を落とす等の行為が当たり前に行われています。これらの行為は長期的に品質を低下させるばかりか、住むお客様の健康を害してしまいかねません。こんな家づくりを続けていれば家に「愛」などつくはずがありません。
例えば24時間換気システムというものがあります。どの住宅会社に行っても24時間換気システムがいかに素晴らしいかを聞かされます。しかしこれは本来、2003年の改正建築基準法でシックハウス症候群対策のために導入され、設置義務化されたものです。
いわゆる高気密・高断熱が進み、家づくりで使用している化学物質が家の中から抜けなくなり、室内に充満し、その空気を毎日吸うことによって、シックハウス症候群、別名「化学物質過敏症」という病気が増加したことにより設置義務化されました。
コストダウンのために使用される、土台や柱などの集成材に使われる接着剤、ビニールクロス、またはその化学物質を含む糊、接着剤で貼り合わせた合板フローリング、合板室内ドア、構造用合板、化学物質入りの建築塗料、欧米では禁止されている農薬の数百倍の毒性のある防虫防蟻処理剤。コストを抑えるためにほとんどを人工物で作りあげた新築住宅に住むと、人は病気になってしまうので、「24時間換気システムで化学物質を排出しながら住んでください。」と法律で義務づけたのです。
そして、それらの家づくりが今の日本の大半を占めています。家づくりに対して化学物質の規制に厳しい海外の方や、まともな感覚をお持ちの方からみたら「えっ!それ本当?大丈夫?」と確実に思われることでしょう。
私たちの呼吸量は、大人で1回あたり500ml。一日に換算すると500mlのペットボトル2万8,800本分。ご飯にすると100杯分になるそうです。
これを食事と考えれば、「この食べ物には化学物質の体に悪いものがたくさん入っていて、食べると病気になるので、その毒物を排出する薬を必ず一緒に飲んでください。」と法律で規制しているようなものです。
これは、笑い話ではありません。そしてこんなおかしな話はありません。そもそも、その地域の自然の恵みを生かした素材で家づくりを行えば、そんなものは不要のはずです。また自然素材の家は、手入れをすることによって生涯コストがかからず、人もペットも植物も、いわゆる地球上の生き物が安心して生き生きと暮らせる家となります。それが本来の“家”ではないでしょうか。
そしてそんな人工物で囲まれた住宅は、経年劣化が激しく、35年の住宅ローンを組んでいるのに、15年、20年目、早い方は10年目でリフォームが発生し、さらにリフォームローンを組み、住宅ローンと2重ローンを強いられ、生活が圧迫されているという声が多いのも事実です。
資本主義の経済発展路論の「イノベーション」を定義した事で有名な世界的な経済学者 ヨーゼフ・シュンペーターがこんなことを言っていたらしいです。
「私は2種類の人間を信用しない。すなわち安く建築すると公言する建築家と、簡単な答えを与えると公言する経済学者を。」と。
いわゆる「安くします」「安く建築します」という建築家や建築業者の耳障りのいい言葉を信用し、安く建てれば、必ず住んでからの、生涯コストが高額になってしまい、結局は家にかかるライフサイクルコスト等の生涯費用が非常に高くなってしまう。だから「安く建築するという建築家は信用できない。」という事を言っているのだろうと思います。
日本で言えば、江戸のいろはかるたではないですが「安物買いの銭失い」という事になってしまいます。
地震、台風、災害に強い頑強な家である事。
長期間メンテナンス不要、お金のかからない家である事。
冬暖かいこと。夏涼しい事。
健康に害のない家である事。
ワクワクする、帰りたくなる家である事。
そして私たちは、様々な思いを持って生きています。
「思い通りになる事、ならない事」の繰り返しが私たちの人生です。「思い通りにならなかった時」その家に帰ると、心がリセットされ、また明日頑張ろうと思える、そして家族のいい言葉が紡がれる、そんな家づくりを提供していきたいと強く思っております。
本来日本の家づくりは、自然の恵みである素材を生かし、天然無垢材、壁は塗り壁、大工職人、左官職人、建具職人等の地域の職人の腕を活かした、建築物が建ち並び、きれいな街並みを形成する文化がありました。
そのような地域と人は、100年、200年と伝統と文化を受け継ぎながら、歴史と共に生き続けていきます。私たちスピークスはそんな考えから、お客様はもちろん私たち自身も、「愛」が持てるいい家だけを創っていき、建築した家と生涯つきあっていきたいと考えております。
末永く経年変化を楽しめ、日本の伝統と文化を受け継ぎ、現代の技術を融合させ、自然素材と職人の技術を活かし、30年、50年を経過しても住んでいる人が「愛」を持て、本当の豊かさが実感でき、いい笑顔と、いい言葉だけを紡いでいく。そんな家づくりをしていったなら、必ず「家」にも「愛」がつくだろうと強く信じて、日々家づくりを行なってまいります。
〜人の日々に喜びを〜
私たちのミッションです。
小さな幸せをたくさん提供できる会社を目指しております。スタッフ共々よろしくお願いします。
2023年2月
スピークス 株式会社
代表取締役社長 吉田 博文